搾取されず、伸びやかに

全てのネタになれ。

冬の金魚すくい

金魚すくいで掬った金魚は

とても長生きだった

実家のオレンジ金魚さん

何年ぐらいだろう

5.6年ぐらい生きていた

歳を増すと目が飛び出たりしてきて

最期はお父さんが川に流すと言って

全力で泣いて止めたんだっけな

悲しくて悲しくて

あ〜浮いてる びっくりして 

死んだ生き物を見るのは初めてだったのかな小学3年生

 

人を掬う事はできないんだろうな

金魚掬いみたいに掬いあげたって

勝手に掬われたってそんなこと

そんな残酷なこと

 

だけど掬ってしまったらきちんと栄養をあげて

なるべく生きやすいように

たまに声かけたりして 楽しくいれるように

そんなふうにして

 

そんないい加減なことそんな大層なこと

 

まただ あまりにも馬鹿馬鹿しい

体液と涙と血液をそのまま流しっぱなしにして

このベッドごと動いて

どこかの向こう側の世界へ

そこは言語もなく音もない世界

ムクリ。そこで散歩するかい?

どこを歩こうか

前の世界の事を思い出しながらテクテク

あ〜どれも素敵ね!この世界も前の世界も

「ねえ、なにが見える?」

僕には桃色の空と、遠くで手を振っている君たちが見えるよ

 

じゃあ場所を変えてみようか

地元の図書館の前を歩こうか

あそこの道はいいぞ 夜は特にいいんだぞ

緩やかなカーブの道があって

そこをくねくね歩くと家に着くから

あ 灯りが点いてる

そっかもう誰か別の人たちが

 

良かった 嬉しいな 大切にしてね

 

もう飽きた?そうだよね話聞きたいけど眠くなってきたもんね

ううん、また話そうね

え?気にしてないよ

間違った事言ってなんかないよ

間違った事ってなあに

 

ぎゅー

 

どうか、今日の自分を大事にして

 

チャリチャリ 

 

あ。

灯りが戻ってきた。

 

ようこそ!おかえり!いらっしゃい!

待ってたよ。

 

ん?なあに?